Home > News > 【ポルタメタ初のオンラインコンサート】潤音ノクトと八十八カノン 演奏者自らによる曲目紹介
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Mar 3, 2025
2025年3月1日(土)に開催したポルタメタ初のオンラインコンサート『ポルタメタ 1st Online Live "Tempo primo"』では、世界初となる3Dモデルによるリアルタイム連弾が実現!
2024年にリアルタイムで東京交響楽団とのオーケストラ共演を果たしたバーチャルピアニスト・潤音ノクトと、今回のライブで3Dモデルが初お披露目となった八十八カノンがアンコールを含めた合計9曲の演奏を披露しました。
ピアニスト本人による曲目紹介はこちら ※各曲名から開始位置まで飛ぶことができます
1. クロード・ドビュッシー 「ベルガマスク組曲」より「月の光」(5:42)
演奏:潤音ノクト
人はとてつもなく荘厳で神秘的な空間に立たされた時、時間という感覚を失う。 そこには確かにゆったりと流れる3拍子があるが、ドビュッシーはそれを巧妙に隠し、聴き手を幻想的な空間に誘う。 彼の愛したヴェルレーヌの詩集「雅なる宴」の「月の光」という一篇より着想を得たとされている。 月の光に照らされて静かに踊るピエロ達の、仮面の裏にふと見える、儚く、物憂げな表情を見事に表現した彼の代表曲の1つです。(潤音ノクト)
2. フレデリック・フランソワ・ショパン 「舟歌」嬰ヘ長調 Op.60(11:42)
演奏:潤音ノクト
イタリア、ヴェネツィア。天気は晴れ。 ショパンと、恋人のサンドはゆったりとゴンドラに揺られながら甘美なメロディを2人で口ずさむ。 この曲はショパンが手を伸ばしても届かなかった、そんな想像上の幸せを描いたのではないでしょうか。 現実は理想とは程遠く、肺結核により体は蝕まれ、サンドとは破局し、憧れたヴェネツィアの土地を踏む事はついには叶わなかったようだ。 ショパンの弱まる心臓の鼓動や、魂の灯火が、時折描かれる水面のきらめきに反射して、うまく織り交ぜられている。 そのショパンの心臓は、彼の故郷であるワルシャワの、聖十字教会の柱の中で、今も静かに眠っています。(潤音ノクト)
3. パスカル・ヒメノ 演奏会用リズム・エチュードより 第2集Ⅵ.クール 第1集Ⅵ.フィナーレ(22:40)
演奏:潤音ノクト
演奏会用リズム・エチュード集は、スペインの現代作曲家、パスカル・ヒメノによって書かれた作品集。伝統的なラテン音楽を基調に様々な「リズム」を堪能でき、楽譜を開けばそこはもうダンスパーティー会場である。今回選曲した2曲は、中でも特に様々なスタイルを融合させた、全く新しい音楽として芸術的に昇華されている。パスカル・ヒメノという新ジャンルの誕生だ!(潤音ノクト)
4. ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 「あぁお母さん聞いて」による12の変奏曲 ハ長調 K. 265(31:12)
演奏:八十八カノン
モーツァルトの音楽はシンプルな作りをしています。音数も多くなく、ドラマティックな展開や超絶技巧も無いので派手さには欠けます。しかし、だからこそ、聴き手や弾き手のどのような心情にも寄り添い、安心して身体を委ねられるような柔らかな暖かさが有るように感じます。今日演奏するこの曲は、モーツァルトの楽曲の中でも特にシンプルなものの1つです。世界中で知らない人は居ないのでは?というくらい有名なテーマは、モーツァルトの作曲ではありません。1775年ごろに当時のパリで流行っていた歌で、それを気に入ったモーツァルトが鍵盤楽器用の変奏曲に仕立てました。モーツァルトの音楽のチャーミングさを存分にお楽しみ下さい。(八十八カノン)
5. ニコライ・カプースチン 8つの演奏会用練習曲 Op.40-6 パストラール(42:04)
演奏:八十八カノン
ニコライ・カプースチンはウクライナ出身の作曲家、2020年に亡くなりました。ジャズのように聞こえるのに楽譜は意外にも整然とクラシカルで、そのまま弾けばやっぱりジャズに聞こえる…という魔法のような作風で、世界中のピアニストを虜にしています。本日演奏するパストラールは8つの演奏会用練習曲という曲集の6番目で、そこはかとなく中華風な音階のメロディとピコピコとあちこちに飛び跳ねるような5度和音など、全体的にとても可愛らしい作品ですが、指運びは可愛らしく無く、なかなかに厄介です。そう、8つの演奏会用練習曲はどの曲も強烈な個性がコンパクトに纏まっていてとても魅力的で、聴くと誰もが弾いてみたくなるのですが、実は譜読みも運指もかなりの難関揃いなのです。運指の煩雑さに負けずに、ジャズのように聞こえるけれどクラシックの精神を忘れずに、頑張って演奏しようと思います。(八十八カノン)
6. フランツ・リスト パガニーニによる大練習曲より No.3「ラ・カンパネラ」嬰ト短調(44:58)
演奏:八十八カノン
ヴァイオリン界の稀代のテクニシャンであるニコロ・パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の第3楽章 ロンド『ラ・カンパネラ』の主題を編曲して書かれました。曲の終盤は教会の大きな鐘がリンゴンリンゴンと大音量で鳴っているような大迫力なので、派手なイメージを持っている方も多いかとは思いますが、そこへ至るまでの曲の大半は意外にも音量の小さい繊細な曲調で、10度越えの跳躍や高速半音階などをこなしつつメロディラインを浮き立たせる、という緻密な指捌きを要求されます。名前の La Campanella は、イタリア語で「鐘」のことで、その中に「小さな鐘」という意味合いもあるようです。名曲中の名曲、気合を入れて演奏いたします。(八十八カノン)
7. 鷺巣 詩郎 Quatre Mains (a quatre mains) =3EM16=(「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」より)(51:13)
演奏:Ⅰ. 潤音ノクト・Ⅱ. 八十八カノン
劇中に多くのクラシック曲が使われている事で有名な「エヴァ」シリーズですが、この曲は鷺巣詩郎氏がとてもクラシカルな形式で書いた、ピアノ連弾楽曲です。この楽曲が披露された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」で、碇シンジと渚カヲルが連弾をするシーンは衝撃的だったのではないでしょうか。冒頭パートは、ピアノという楽器の可能性を連弾という形で存分に発揮し、まるでフルオーケストラを聴いている様な壮大なサウンドが際立つ。中間部は、決して飾りすぎる事はなく、単純な音形でこの上なく開放的なサウンドを作り上げることに成功している。「エヴァンゲリオン」ファンの方々だけではなく、クラシックファンの方々にも是非聴いていただきたい作品です。※楽譜出展元:ぷりんと楽譜様(潤音ノクト)
8. アストル・ピアソラ リベルタンゴ イ短調(54:19)
演奏:Ⅰ. 八十八カノン・Ⅱ. 潤音ノクト
タンゴと言われてパッと思いつく楽曲といえば、何でしょうか。私は、だんご三兄弟とこのリベルタンゴです。かなり雰囲気が違うと思われそうですが、だんご三兄弟も立派なタンゴ。4拍子の中に静と動を所狭しと詰め込んだ、キレのある細かなアーティキュレーションが特徴です。アルゼンチンの作曲家アストロ・ピアソラの代表作であるこの曲は彼が50歳を過ぎた1974年に発表されました。ブエノスアイレスのタンゴを世界に広めたいと思っていた彼は、従来の形でそのまま広めることに限界を感じ、クラシックの作曲技法を学び、ジャズの要素を取り入れ、時にはエレキギターを編成に加えたりと、あらゆる実験を試しました。Libertangoという単語は、libertad(自由)とtango(タンゴ)と合わせて作った造語です。彼の長きに亘る実験の集大成とも言える名曲を、今日はピアノ連弾でお届けします。(八十八カノン)
encore: アラム・ハチャトゥリアン バレエ組曲《ガイーヌ》より 剣の舞(1:02:10)
演奏:Ⅰ. 八十八カノン・Ⅱ. 潤音ノクト
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